だるま願かけと七転び八起き、達磨大師をかたどった赤い縁起物

写真: Asanagi, CC0, via Wikimedia Commons(選挙などで使われる典型的な高崎だるま)
だるまは、禅宗の祖・達磨大師をかたどった、丸くて手足のない赤い張り子の縁起物。倒しても起き上がることから「七転び八起き」の縁起とされ、願かけのときに片目を書き入れ、成就して残る片目を入れる風習で知られる。群馬・高崎が全国シェアの多くを占める。
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基本スペック
特徴
- 禅宗の祖・達磨大師の座禅姿をかたどった、丸くて手足のない張り子
- 底におもりが入っていて、倒しても起き上がる「起き上がり」の作り
- 願かけのときに左目を書き入れ、成就したら右目を入れる風習がある
- 多くは赤いが、白・金・色とりどりのだるまも作られている
- 産地ごとに顔つきや模様が異なり、高崎・白河・松川などの系統がある
誕生と歴史
(1783)
だるまは、禅宗の祖として知られる達磨大師(ボーディダルマ)の座禅姿をかたどったもの。九年もの間ひたすら壁に向かって座禅を続け、手足が腐ってしまったという伝説から、手足のない丸い姿で表されるようになったと伝わる。倒しても起き上がる形とあわせて、「七転び八起き」の粘り強さを表す縁起物として親しまれてきた。
重心が底にあり、倒してもすぐに起き上がる玩具「起き上がり小法師」は、もともと中国から伝わり、室町時代には日本で親しまれていたとされる。江戸時代に、この起き上がる姿を達磨大師に重ねて作られたのが、いまのだるまのもとになったと言われる。
全国のだるまの多くを生む群馬・高崎のだるま作りは、少林山達磨寺と深く結びついている。天明の飢饉のあと、苦しむ農民の副業になるようにと、寺がだるまの木型と作り方を近隣の村に伝えたのが始まりと伝わる。いまも毎年正月の少林山七草大祭は「だるま市」でにぎわう。

写真: puffyjet, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons(高崎・少林山達磨寺に並ぶだるま)
赤い色と目入れ
だるまが赤いのは、赤い色が古くから魔除けと結びつけられてきたことによる。江戸時代に疱瘡(天然痘)が流行したとき、赤いものが厄除けになると信じられ、赤い達磨が疱瘡除けの願かけに用いられて広まったと伝わる。現在は、白・金・黄・緑など、願い事にあわせて色を選べるだるまも作られている。
だるまは、多くが目を書き入れない状態で売られる。願いを立てるときに向かって右側の目(だるまの左目)を書き入れ、願いがかなったらもう片方の目を入れる、という風習が広く知られている。少林山達磨寺では「目を入れる」ではなく「目を開く(開眼)」と表現し、寺が最初の一点を開いてから、あとは本人が願いを込めて開くとされる。
選挙で当選を願う「選挙だるま」は、この目入れの風習がよく知られた例で、立候補のときに片目、当選して残る目を入れる。その多くが高崎で作られている。
つくり(張り子)
だるまの形の木型に、和紙を糊で貼っては乾かす作業を繰り返し、厚みを出す。
紙が乾いたら型から抜き、底におもりを入れて、倒しても起き上がるようにする。
赤などの色を塗り、顔やひげ、腹の文字を一つずつ手描きして仕上げる。
各地のだるま
だるまは各地で作られ、産地ごとに顔つきや模様が異なる。代表的な系統には次のようなものがある。
- 高崎だるま(群馬):全国のだるまの多くを占める産地。眉を鶴、口ひげを亀に見立てた顔立ちが特徴。少林山達磨寺の門前が発祥とされる
- 白河だるま(福島):白河藩主・松平定信が絵師の谷文晁に図案を描かせたと伝わる。眉や鼻ひげに松・竹・梅・鶴・亀を描き込む縁起の姿
- 松川だるま(宮城):仙台とその近郊で作られる。胴の上半分が青、下が赤で、眉に本物の毛を使い、はじめから両目が入っているのが特徴
- 越後だるま(新潟):白河系の流れをくむとされる。丸みのある姿で親しまれる
- 会津の起き上がり小法師(福島):だるまと同じ張り子の縁起物。手のひらに乗る小さな姿で、会津では正月に家族の数より一つ多く求める習わしがある
いろいろなだるま
赤い高崎だるまが定番だが、各地の伝統的なだるまから、キャラクターをかたどった変わり種まで、姿はさまざまにある。
写真: Ebiebi2, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
写真: CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
写真: puffyjet, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons
メモ
- 「だるま」の名は、禅宗の祖・達磨大師(ボーディダルマ)に由来する。
- 高崎だるまの顔は、眉が鶴、口ひげが亀を表しているとされ、縁起をかついだ図柄になっている。
- 願かけの目は「向かって右に入れてから左」が広く知られるが、地域や願い事によって順番の言い伝えには違いもある。
- 松川だるまのように、はじめから両目が入っていて目入れをしない系統もある。
- 役目を終えただるまは、多くの産地で寺社の「だるま供養(どんど焼き)」に納めて焚き上げる習わしがある。
- 正月には全国各地で「だるま市」が開かれ、高崎の少林山七草大祭のほか、東京・調布の深大寺などが知られる。
購入先
だるまは、産地の工房や縁起物を扱う店で今も広く手に入る。手のひらサイズの小さなものから、置物として飾る大きなものまで、大きさは「号」で選べる。願かけ用に、まだ目の入っていないものを選ぶとよい。
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