こま(独楽)|藤原京から回りつづけて千三百年、世界最古級の回転玩具

こま(独楽)藤原京から回りつづけて千三百年、世界最古級の回転玩具

佐世保こま(隈本コマ製)

日本各地・世界各地伝統玩具正月遊び

こま(独楽)は、軸を中心に回して遊ぶ回転玩具。世界各地で古代から遊ばれてきた最古級の玩具で、日本でも7世紀の藤原京跡から出土している。ひもで投げて回す、手でひねる、鞭で叩く、回して技を見せる——千年以上のあいだに遊び方も姿も枝分かれし、正月遊びの定番として、そして現代はベイブレードとして、いまも回りつづけている。

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楽天 参考価格 ¥1,160〜 税込・種類/店舗により変動

基本スペック

起源
世界各地・日本へは大陸経由
日本最古
藤原京跡出土(7世紀)
分類
伝統玩具(回転玩具)
素材
木・竹・貝・鋳物など
主な遊び
回し比べ・喧嘩独楽・曲芸
入手状態
現行(産地の工房・玩具店)

特徴

  • 回っている物体は倒れにくい、というジャイロ効果で立ちつづける。原理は人工衛星の姿勢制御と同じ
  • ひもを巻いて投げる「投げ独楽」、指でひねる「ひねり独楽」、回すと音が鳴る「うなり独楽」など種類が非常に多い
  • 木地をろくろで挽いて色縞を付ける産地が多く、九州には軸に鉄芯を打った実戦派の独楽が育った
  • 「物事が円く回る」「お金が回る」に通じる縁起物として、正月遊びの定番になったとされる
  • 叩き合わせて競う喧嘩独楽の文化は、ベーゴマを経てベイブレードへと現代まで一直線につながっている

誕生と歴史

古代
独楽は世界各地の遺跡から出土する、人類最古級の玩具のひとつ。日本へは中国大陸から伝わったとされる
7世紀
藤原京跡から日本最古とされる木の独楽が出土。奈良時代以前にはすでに回されていた
平安時代
中国から風を切って鳴る「唐独楽」が伝わり、宮廷の儀式や貴族の遊びに使われる
10世紀
辞書『和名類聚抄』に「独楽」の字が登場。和名は「古末都久利(こまつくり)」と記された
14世紀
『太平記』に「こま」という言葉が単独で登場する
1603年
『日葡辞書』の「バイ」の項に「子どもたちが独楽として使う」と記される。貝殻の独楽=ベーゴマの祖先の最古の記録
17世紀末
博多で軸に鉄の芯を打った「博多独楽」が生まれる。回転が安定し、回したまま持ち上げる曲芸独楽の文化が花開く
江戸時代
独楽は庶民の遊びとして大流行。「ばい回し」は賭け事の対象になるほど熱中され、曲独楽は見世物興行になった
大正〜昭和
貝の代わりに鋳物で作ったベーゴマが関東の路地の定番になり、高度経済成長期まで子どもたちを熱中させる
1999年
タカラ(現タカラトミー)がベーゴマを現代化した「ベイブレード」を発売。世界80以上の国と地域に広がり、シリーズ累計5.2億個以上が出荷される大ヒットになる
「こま」の名は高麗から?

「こま」という呼び名の由来には諸説ある。よく知られるのは、朝鮮半島の高麗(こま)を経て日本に伝わったからという説。10世紀の辞書に残る和名「こまつくり」の「こま」も同じ由来と考えられている。ほかに『日本書紀』に記された高麗の歌舞に由来する説、「くるま(車)」の変化とする説などがあり、決め手はない。漢字の「独楽」は中国語からの借用で、「ひとりでに楽しげに回る」姿がそのまま字になっている。

鉄芯革命——博多独楽と曲芸

17世紀末の博多で、木の胴に鉄の芯棒を打ち込んだ独楽が生まれた。鉄芯を使う独楽のルーツは博多独楽とされる。軸がぶれずに長く回るため、回したまま手に載せる、刃の上を渡らせるといった芸が可能になり、日本の曲独楽(きょくごま)文化の発祥になった。江戸期には見世物として全国に広まり、博多独楽の曲芸はいまも家元によって受け継がれている。

バイ貝からベイブレードへ

巻き貝のバイの殻に砂や粘土を詰めて回した「ばい回し」は、1603年の『日葡辞書』に載るほど古い遊び。上方の「バイゴマ」が江戸に伝わって訛り、「ベーゴマ」になったといわれる。大正から昭和にかけては鋳物のベーゴマが路地裏の真剣勝負の主役になった。1999年、この遊びをタカラが「ベイブレード」として現代化すると、パーツ交換式の喧嘩独楽は世界80以上の国と地域で累計5.2億個以上という規模まで育った。貝殻の遊びの直系の子孫が、いま世界でいちばん回っている独楽になっている。

鋳物のベーゴマ

写真: Σ64, CC BY 3.0, via Wikimedia Commons(鋳物のベーゴマ。床几に張った布の上で弾き合う)

遊び方(投げ独楽)

1

ひもの端を独楽の軸に掛け、胴にすき間なくきつく巻きつける。

2

ひもの端を指に掛けて独楽を持ち、地面に向かって投げると同時にひもを引き抜く。

3

ひもの回転が独楽に乗り移り、勢いよく回り出す。回り比べ、ぶつけ合い(喧嘩独楽)、手のひらに載せる技など、ここから遊びが広がる。

独楽の里

博多(福岡)——曲芸の独楽

鉄芯のルーツにして、日本の独楽芸の発祥地。博多独楽の曲芸は郷土芸能として家元が継承しており、福岡県の伝統工芸にも数えられる。

佐世保(長崎)——喧嘩の独楽

ラッキョウ形の胴の先に「剣(けん)」と呼ぶ鉄の芯を打った、実戦のための独楽。相手の独楽に打ちつけて叩き割る喧嘩独楽で、青・赤・黄・白・黒の五色の縞は中国の陰陽五行に由来すると伝わる。マテバシイの木から一つずつ手作りされる。

九州のほかの独楽・全国の産地

九州は鉄芯独楽の本場で、肥後こま(熊本)など個性の違う独楽が並び立つ。福岡・八女の隈本コマは創業120年を超える老舗の独楽工房で、本ページの写真の佐世保こまもここの手になる。ほかにも色縞のろくろ挽き独楽は全国の木地師の産地で作られてきた。

九州の投げ独楽いろいろ

写真: Keisotyo, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons(九州の投げ独楽。鉄芯と形の違いに産地の個性が出る)

メモ

  • 正月に独楽を回すのは「物事が円く回る」「お金が回る」に通じる縁起かつぎとされる。年賀切手や凧・羽子板と並ぶ正月玩具の定番。
  • 回ると音が鳴る「うなり独楽」は胴の空洞に風が入って鳴る。平安時代の唐独楽もこの鳴る独楽だった。
  • ひもを使わず手でひねる小さな独楽は「ひねり独楽」。世界各地に同じ形があり、ユダヤ文化のドレイドルもその親戚。
  • 回転体が倒れにくいジャイロ効果は、人工衛星やロケットの姿勢制御にも使われる。独楽は物理法則の見本でもある。
  • ベイブレードは「ベーゴマ」の音を受け継いだ命名。パーツ組み替えで強さを調整する発想は、ベーゴマを砥石で削って改造した路地裏の文化の直系。

購入先

色縞の木の独楽は、産地の工房や郷土玩具店でいまも現役で手に入る。写真の佐世保こまは老舗・隈本コマ製で、回し方の説明書付き。喧嘩独楽の本場の一品を、まずは畳の上の回し比べから始められる。

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