招き猫(まねきねこ)|右手で金運、左手で人を招く、福を呼ぶ縁起物

招き猫(まねきねこ)右手で金運、左手で人を招く、福を呼ぶ縁起物

白い常滑焼の招き猫

愛知・常滑ほか縁起物招福

招き猫は、前足を上げて福を招く姿をした、猫の縁起物。商売繁盛や金運の願かけとして、店先や玄関に古くから飾られてきた。右手を上げると金運、左手を上げると人(客)を招くとされ、色や小判の文字にもそれぞれ意味があるといわれる。

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基本スペック

主な産地
愛知・常滑ほか各地
種類
縁起物(陶器・張り子)
素材
陶器・張り子(和紙)
モチーフ
猫
ご利益
商売繁盛・招福・金運
上げる手
右は金運/左は客を招く

特徴

  • 前足を上げて福を招く姿の、猫をかたどった縁起物
  • 右手を上げると金運、左手を上げると人(客)を招くとされる
  • 胸に小判を下げ、「千万両」「福」などの文字が書かれることが多い
  • 白のほか、黒・赤・金など、色ごとに願い事が異なるといわれる
  • 常滑・瀬戸・今戸・九谷など、産地ごとに顔つきや作りが異なる

誕生と歴史

天正年間
(1573〜92)
隅田川の西岸・今戸のあたりで、瓦や土器づくりが盛んになる。のちの「今戸焼」の土人形につながる
寛永期
(1633ごろ)
世田谷の豪徳寺で、白猫が井伊直孝を寺に招き入れ、直後の雷雨を避けさせたと伝わる。直孝が寺を再興し、招き猫「招福猫児」の由来になったとされる
江戸時代
猫を福を招く縁起物とする信仰が、各地に広まっていく
嘉永5年
(1852)
浅草・今戸で、老婆が手放した愛猫の姿を今戸焼の人形にして売ったところ評判になったと伝わる(焼き物の招き猫)
幕末〜明治
瀬戸や常滑など各地の窯でも招き猫が作られるようになり、全国に広がる
現代
愛知・常滑が一大産地になる。9月29日は語呂合わせで「招き猫の日」とされる
豪徳寺の白猫

招き猫の由来としてよく知られるのが、世田谷・豪徳寺の伝説。彦根藩主の井伊直孝が鷹狩りの帰りに寺の前を通ると、白猫が手招きするように見えたので中に入り、その直後に激しい雷雨になった。難を逃れた直孝が寺を手厚く再興したと伝わり、この白猫が「招福猫児(まねぎねこ)」の由来になったとされる。豪徳寺には今も、願いがかなった人が納めた招き猫が無数に並んでいる。

今戸焼の招き猫

いっぽう、いまの置物としての招き猫は、江戸・浅草の「今戸焼」から広まったとする説が有力とされる。嘉永のころ、貧しさから愛猫を手放した老婆の夢に猫が現れ、「自分の姿を人形にすれば福が来る」と告げたので、今戸焼の人形にして売ったところ評判になったと伝わる。今戸焼の土人形は、江戸の名物として浮世絵にも描かれている。

発祥は一つではない

招き猫の発祥には、豪徳寺(生き猫の伝説)や今戸焼(焼き物の招き猫)のほか、新宿・自性院や京都・伏見稲荷にまつわる説もある。どれが本家と決まっているわけではなく、複数の由来が並び立っているのが実情で、それぞれの寺社が「発祥の地」を掲げている。

今戸焼を描いた浮世絵

画:歌川国貞・二代歌川広重「江戸自慢三十六興 今戸焼物」, Public domain, via Wikimedia Commons(江戸名物の今戸焼を描いた浮世絵。窓の外に今戸焼の窯と煙が、女性の裾元に今戸焼の招き猫が見える)

上げる手と色の意味

右手か、左手か

上げている手には意味があるとされる。一般に、右手を上げた招き猫は金運やお金を、左手を上げた招き猫は人(客)を招くといわれる。商売の店では客を招く左手、家庭では金運の右手を選ぶことが多い。近ごろは両手を上げた欲張りな招き猫もあるが、「お手上げ(万歳)」を連想させるとして避ける人もいる。

色ごとの願い

色にもそれぞれ願い事が結びつけられている。白は福や開運、黒は魔除け、赤は病除け、金は金運、桃色は恋愛……といった具合で、地域や店によって解釈には幅がある。胸の小判には「千万両」「福」などの文字が書かれ、より多くの富を願う意味がこめられている。

つくり

招き猫は主に、焼き物(常滑・瀬戸など)と張り子(今戸・豊岡など)の二通りの作り方で生まれる。ここでは、いまの一大産地・常滑に代表される焼き物の招き猫を例に挙げる。

1

型に粘土を詰めて猫の形を成形し、乾かしてから素焼きにする。

2

釉薬をかけて本焼きし、割れない丈夫な焼き物に仕上げる。

3

白などの地色を塗り、顔・首輪・小判の文字を一つずつ手描きして仕上げる。

今戸や豊岡の張り子の招き猫は、木型に和紙を重ねて成形し、軽くて素朴な風合いに仕上がる。

各地の招き猫

招き猫は各地の焼き物・人形の産地で作られ、産地ごとに顔つきや作りが異なる。

  • 今戸焼(東京・浅草):焼き物の招き猫発祥とされる産地。素朴な土人形の風合い
  • 常滑焼(愛知):現代の一大産地。白地に金の小判をさげた、定番の姿でよく知られる
  • 瀬戸焼(愛知):古くからの招き猫の産地。丸みのある愛らしい顔立ち
  • 九谷焼(石川):華やかな色絵が特徴の、豪華な招き猫が作られる
  • 伏見人形(京都):土人形の古い系譜で、招き猫の源流の一つともいわれる

いろいろな招き猫

定番の白い招き猫のほか、色を変えたものや、海外に広まった変わり種まで、姿はさまざまにある。

豪徳寺に奉納された招き猫
豪徳寺(世田谷)に納められた招き猫。願いがかなった人が奉納し、境内に無数に並ぶ。
写真: Niwrat, CC0, via Wikimedia Commons
黄色い招き猫
黄色い招き猫。白・黒・赤・金など、色ごとに願い事が異なるとされる。
写真: jf2c, CC0, via Wikimedia Commons
中国風の招き猫
海外に広まった招き猫。中華圏でも「招財猫」として親しまれ、姿にも各地のアレンジが生まれている。
写真: SwarmCheng, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

メモ

  • 9月29日は「来る福(くるふく)」の語呂合わせで「招き猫の日」とされる。
  • 右手は金運、左手は客を招くと一般に言われるが、地域や店によって解釈には幅がある。
  • 白のほか、黒(魔除け)・赤(病除け)・金(金運)など、色ごとに願いが異なるとされる。
  • 愛知・常滑は現代の招き猫の一大産地で、駅前などに大きな招き猫のモニュメントもある。
  • 豪徳寺(世田谷)では、願いがかなうと招き猫を奉納する習わしがあり、境内に無数の招き猫が並ぶ。
  • 招き猫は海外でも「lucky cat/fortune cat」として親しまれ、中華圏でもよく見かける。

購入先

招き猫は、産地の窯元や縁起物を扱う店で今も広く手に入る。手のひらサイズから、店先に据える大きなものまで幅があり、上げる手(右=金運/左=客)や色を、願い事にあわせて選ぶ楽しみがある。

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